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『電車男』を観る前に
『電車男』(中野独人)  2チャンネルのログを採録した本『電車男』(中野独人)が映画化(映画『電車男』公式サイト)された。

 いつも見ているWeb日記で紹介されたので、「電車男」の2チャンネルログは、書き込みのリアルタイムにではないが、2チャンネルで直接読んでいる。面白い、感動した等、評判だったが、僕にはそれほど面白いと思えなくて、かなり飛ばし読みした。もっとも、本筋と関係ない野次書き込みを読み飛ばしてもかなり読み飛ばしになったとは思うが。

 だから、これが出版されると聞いて結構驚きだった。それだけでなく、さらに本もそれなりに売れて、ついにはコミック化、映画化され、何がそんなにヒットしたのかと意外な気がしたのだが、本当かデマか知らないが、『電車男』がハリウッド映画化されるという噂を目にして、初めて納得した。

 『電車男』のストーリーって、考えてみたらハリウッド的なラヴストーリーのパターンにはまるんだよな。  コールガールが実業家と結ばれるシンデレラストーリーの『プリティ・ウーマン』と基本は一致していて、『プリティ・ウーマン』男性版と思ってもいいんじゃないかと思う。

 基本が同じというのは、『プリティ・ウーマン』そのものより、その元ネタの『マイ・フェア・レディ』の方がわかりやすいかもしれない。田舎娘をヒギンズ教授が短期間でレディに仕立て上げる。ヒギンズ教授役を、『電車男』の場合は、2チャンネルの仲間が集団でサポートしていくというわけだ。

 シンデレラぶりでいえば、ブランドもののカップをお礼にプレゼントした「エルメス」っていうのは小さいが、それを言ったら最近日本映画からハリウッド映画にリメイクされた『Shall We ダンス ?』も、日本版はささやかな感じがする。

 今度の映画がヒットするのかわからないけれど、要素としてはヒットする要素を持っているのだった。つい、2チャンネルからの生まれたとか、アキバ系のラブストーリーとか、色物的な印象に引っ張られて気づかなかった。そういう意味では、出版したり、映画化しようと考えた人は偉いかもしれない。映画化にあたって、どう料理されているのか非常に気になっている。

『電車男』の復習
『電車男』(中野独人) 『封印された電車男』(安藤 健二)  復讐じゃない、復習。

 『電車男』は昨日も書いたように、ログで読んだときに周りが騒いでいるほど面白いと思わなかったので、その後どんどん過熱していくのもほとんど、不思議だなぁと思うくらいで見過ごしていた。

 書籍として出版されたときには、どんな風に本の形になったのか興味があったので本屋で手にとってみた。ログがそのままなのか、と思ってそれで確認完了。

 急に話題に取り上げたのは、この間映画館で予告を観たからに他ならない。それと、話の構造がハリウッド的シンデレラストーリーだったことに気づいたからで、ヒットする要素がわかった(気になった)からで、それを書いたので、書くことは書いてしまった。はずだったのだが。

 『電車男』の書籍にリンクしたりしていたら、その物語の虚構性などについて、話題になっていたことを知ったので、いろいろWebを検索してみた。

 そもそも『電車男』は、2chの独身男の書き込み板に、電車男が彼女を作るきっかけができたと書き込むところから始まる。そのあと、いろいろな励ましを受けながら、電車男が知り合った女性にアタックするわけだが、そのスレッドから本筋だけを抜き出したいわゆる「まとめサイト」というのが作られた。
 この頃Web日記で話題になって知ったのだが、昨日は2chの書き込みを読んだと書いたが、2chも見にいったかもしれないが、実際にはこのまとめサイトで読んだのだったと思う。

 で、そのまとめサイトが本になり、映画になった。ここまでは知っていたこと。

 『封印された『電車男』』(安藤 健二 太田出版)によれば、「ベストセラー『電車男』には、実際の掲示板上の膨大な書き込み(生ログ)のうち、たったの6.4%しか収録されていない。もしすべての書き込みを収録すれば、それは現在の単行本の10倍以上、5000ページを優に超える計算になるという。」(amazon.co.jpのレビュー)。

 削除されているのは、ログの番号が飛んでいることから当然知っていたが、比率についてはそうなんだとちょっと驚いた。
 しかし、出版ということを考えると、2chの蛙鳴蝉噪が飛び交う生ログをそのまま載せるわけにはいかないだろうというのもすぐにわかる。さらにこの本の紹介も、2chから単行本にするにあたり削ったかのように見えるが、いろいろWebを見ていると、本はまとめサイトをほぼそのまま書籍化しているようなので、すでにまとめサイトにまとめられた時点で関係ないものは削られているのである。

 なーんて、見ていたら、「絵文録ことのは」というブログに、『電車男』自体が2chを舞台にした読者参加型のフィクションだ(「電車男マーケティング」――フィクションを流行らせて既成事実化する巧妙な戦略)と書いていて、面白く読んだ。

 ことの真偽は別として、『電車男』を初めて読んだときにあまり面白くないと思った理由がわかった気がした。つまり、本当のこととしてログを読んでいるのに、嘘っぽく感じたからじゃないかと思う。フィクションをフィクションとして読めば納得できるものも、本当にあった話としてフィクションを読むと急激に胡散臭くなる。この記事を読んだ後に、『電車男』のまとめサイトに行ってみると、この記事が念頭にあるせいかもしれないけど、ことごとく作り話っぽく感じてくる。

 一方、作者とか出版社側はどうなっているか、電車男の存在や書籍版『電車男』の著者となっている中野独人は何者なのかというのは、ちょっと古い記事だけど、「そうだったのか!『電車男』」がわかりやすい。

 『電車男』にはそんなに興味ないのでここまで。ってもう十分書いているか。

『デンジャラス・ビューティー2』
 『デンジャラス・ビューティー2』を観てみた。前作は観ていないが、話は独立していそうなので大丈夫だろうと思って。前作がサンドラ・ブロック扮するFBI捜査官グレイシー・ハートが、ミスコンへの潜入捜査をして大活躍というか大暴れなのか、まあそんな感じの映画であるくらいなら予告で知っている。

 今回は、前作で有名になってしまって、潜入捜査ができなくなったグレイシー・ハートが、FBIの顔として広報活動に回されるが、そこで新たな事件が巻き起こる、程度のことを予告で見ていた。まあ、その通り。

 前作の直後から話は始まる。予告でもやっていたように、最初にある事件で潜入捜査に失敗してしまい、グレイシー・ハートはFBIの顔としての道を選ぶ。それから10ヶ月、グレイシー・ハートはすっかり変わって(たぶんね)、化粧やなにやらにばかり力を入れ、テレビで愛想を振りまくタレントのようになっていた。そんなとき、前作で友達になったミス・アメリカの誘拐事件が発生する。FBIの顔としての振る舞いが要求されるのみで、この事件に関われないグレイシーだったが、普段仲の悪い相棒のフラーとともに、独自捜査を開始する。

 このグレイシーとフラーは、出会いから最悪の仲で、それが途中手を組むことになるいわゆるバディ・ムービーの典型のような映画。そこを起点に、グレイシーはおしゃれ命から元の柄の悪い捜査官に戻り、物語も急展開で面白くなる。というか、物まねバーで、ティナ・タナーの物まねをしたり、そのままの格好で犯人逮捕に向かうとかハチャメチャ。

 肩の凝らない娯楽映画ということで楽しめた。

「Google AdSense顛末記」を読んで
 映画瓦版で有名な服部弘一郎さんの日記新佃島・映画ジャーナルで、ここしばらく続いていたGoogle AdSense顛末記が全十回で終了した。

 僕もGoogle AdSenseに申し込んでいるので、興味深く読み続けていた。もっとも、僕の方は小遣い稼ぎどころか、Google AdSenseを登録しても一向に利益が上がる見込みがないんだけどさ。

 これはGoogleのコールセンターも杜撰だけど、服部弘一郎氏の誤解が悪い方に向いて、両者にとって不幸な結果を迎えたという気がしてならない。

 最初の方で、メールを読まずに返信されているのではないかという不信感を感じるあたり、その理由の一つとしてメールの宛名がKouichirou 様となっていることを例に挙げたりしている点など、服部さんは誤解している。服部氏の問い合わせは、コールセンターで対応されていて、宛名にローマ字名の名前がそのまま表示されているのは、たぶんメール回答用のシステムを使っていて、自動的に埋め込まれているだけだろうと思う。そして、そのまま返すのがこのコールセンターの通常の運用で、電話等で服部氏の詳細情報がわかったとしても、そのために宛名を書き換えるということはしないと思われる。これは別にGoogleに限らず、どこのコールセンターでもごく普通の対応だと思うのだ。

 メールの回答自体に問い合わせと一致しない回答がある点について、自動的に回答されているのではないかという推測は半分あっている。よくある質問の回答文例を作成しておき、それを返信するというのがコールセンターの通常のやり方である。これもGoogleに限らず普通のコールセンターのやり方であり、それに不自然さを感じるのは例文の問題や、例文を直さずにそのまま貼り付けただけで返信してしまったコールセンターのオペレータには確かに問題はあるかもしれない。

 しかし、一方で、Googleのコールセンター側の対応として、アメリカの担当者に問い合わせるしか日本側では何もできないというのもきっと事実なのだろうと想像する。そして、コールセンターにいる人たちには、ただアメリカに中継する以上の見解を言ったり、個別の判断を下す権限は全くないのだろうと想像する。特に、電話対応などで最初に出ているオペレータは、質問を受け付け、決まった回答を答える以外の知識もなく、必要であればもっと詳しい担当者にエスカレーションする以外に何もできない。

 そして、最終回の十回目であまりにひどい対応をしてしまった担当者のことが書かれているが、コールセンターである程度の権限を持った人だったのだろう。エスカレーションされたものの、彼には服部氏が正当なGoogleの回答にごねている一契約者としか見えなかった。もちろん、これまでのメールと電話での対応履歴等は当然見ているのだろうが、メールの内容、電話の詳細までは目にしていなかったのだろう。そして、想像するに、Google AdSenseを利用して不正な収益を得ている人や、その権利剥奪に対してごねる利用者も少なからずいるのではないかと思う。

 そんな状態で、最初から不正利用者でかつクレイマーと思い込んで服部氏に対応したのではないかと思う。不幸なことに、服部弘一郎氏も映画瓦版という有名な映画サイトの存在も知らなかったに違いない。

 この一連の顛末を読んで感じるのは、誰もが自分のできる範囲で誠実に対応しようとしているのに何もかもかみ合わずにすれ違っていることだ。Google AdSenseのコールセンターの杜撰さをあげつらうことはできるが、コールセンターにどこまで求められるだろうか。彼らにしてみれば最善を尽くしているのではないかと思う。情報共有がうまくできていないことを個人情報保護法を理由にしてしまった点と、十回目でクレイマーと思って思わず暴言を吐いてしまった担当者については弁護できないが、それ以外はコールセンターの限界ではないかと思う。

 そもそもGoogle AdSenseがなぜ無効とされたのかが不明だが、Googleはこのような場合に本当に異常なのか調べ、納得のいくような回答を返してくれるような対応をする必要があるのじゃなかろうか。服部氏のサイトのGoogle AdSenseはたぶんそれなりの効果をあげていたと思われるのに、権利剥奪になってしまうのはGoogle AdSense自体の損失だと思う。それに加えて不信感も植え付けられてしまったのは大きい。Googleという検索エンジンを好きなだけに、ものすごく残念に感じる。

「Google AdSense顛末記」その後
 先日、新佃島・映画ジャーナルGoogle AdSense顛末記について書いたが(「Google AdSense顛末記」を読んで)、その後に予想外の反応にビックリというのが載って、そのコメントがすごかったのでいろいろ考えた。

 うちのサイトは結構手作りなのだが、ブログ流行になってトラックバックという機能がいいなぁと思っているのだが、手作りするのはちょっと面倒だし時間がなかなか取れない。ブログツールだってテンプレートなどでデザインなどをカスタマイズできるのだから、よさげなブログツールを利用しようかとときどき思うのだが、このコメントなどを見ると気力が失せる。匿名で意見を言えるのはインターネットのいいところだと思うが、議論、暴言などいいたいのなら自分の存在を明らかにしろよと思う。自分で言っていることが矛盾しているのはわかっている。自分を明らかにしないから本音が言えるのであって、自分を明らかにしても同じように言えるかっていったら言えやしない。

 サイトリニューアルにあたり、掲示板はもう不要かもしれないと思ったのだが、その思いをさらに強めてしまった。だが、書きたかったのはそういうことではない。

 今回「予想外の反応にビックリ」のコメントで、サイト内にクリック誘導をするような文章があるという話が出ていたのだが、それが規約違反となってアカウント剥奪となったのだとしたら、いろんなことが腑に落ちるのである。

 このことについて、服部氏はクリック誘導も意図していないし、AdSenseの規約違反とも考えていないと答えている。そして、問題にしているのは、利用者に対する通知方法と問い合わせに対する対処のあり方だとしている。
 実際、服部氏の意図は本人が書いているように利用者に対し、広告を表示することに理解を示してほしかっただけなのかもしれない。しかし、Google AdSenseの規約と照らし合わせて、服部氏の文章をじっくり読み直すと、確かに規約に反しているように思える。これでは確かにアカウント剥奪となっても仕方ないと思えてきた。

 服部氏はもはや理由は問題にしていない、問題にしているのは、利用者に対する通知方法と問い合わせに対する対処のあり方だといっている。でもそれは本当に問題だったのか。
 僕も前回、「Google AdSenseがなぜ無効とされたのかが不明だが、Googleはこのような場合に本当に異常なのか調べ、納得のいくような回答を返してくれるような対応をする必要があるのじゃなかろうか。」と書いたのだが、このクリック誘導するような文章が理由だとしたら、Google AdSenseの回答は詳細な理由は答えられないと思う。規約に触れるような文章を正せばそれでよいわけではないからだ。ある特定の文章がまずいということが広まれば、不正利用者は権利剥奪となる言葉を注意深く排除するだろう。

 となると、Google AdSenseが利用者に通知できるのは、権利がなくなったということ、理由はGoogle Adsenseの規約に抵触する部分が認められたからだということだけで、それってこの問題の発端であった納得できない回答そのままなのである。通知の仕方が杓子定規だと思われても、それしかできないのだ。

 では問い合わせに対する対処はどうなのか。電話で話した結果、再度メールによる回答が届いている。回答には問い合わせに基づいて、調査をして再度無効なクリックが発生していることを確認したのでアカウントは無効とするということできちんと答えられている。そのメール本文の宛名がファーストネームだったこと、回答文中の決まり文句的な部分から、メールも読まずにプログラムで作られた自動生成メールではないかと勘ぐり、服部氏が納得していないだけである。

 コールセンターの担当者が暴言を吐いてしまったことだけは失態として変わらないが、それを除けば問題にしていた通知方法と問い合わせ対処についてもGoogle AdSenseには非がないように思えてきた。問い合わせの回答の歯切れの悪さが気になるが、クリック誘導であれほかの理由であれ、無効クリックと判断した理由についてGoogle AdSenseとしては答えられない以上、ある程度は仕方のないことのように思える。

 結局、Google AdSenseの問題は言葉遣いの問題だけだったのかもしれない。

『甘い人生』
 夜、『甘い人生』を観てきた。観客は僕以外全員女性だったみたい。でもタイトルからイメージするような、イ・ビョンホンの甘いラヴ・ストーリーではない。ジョン・ウーの香港アクションものみたいな、むしろ男性向きの映画だった。

 例えていうならば、韓国を舞台にした現代版マカロニウェスタン。韓国だからハン流ウェスタンか。クライマックスでは、ウェスタン風の音楽も流れてまさにそんな感じ。

 ホテルを経営する社長の右腕、命令とあれば人を痛めつけることも躊躇しない主人公をイ・ビョンホンが演じている。その社長が、信頼して自分の悩みを打ち明ける。愛人にしている若い娘が浮気しているように思える。それを見張って、もし男と会っているなら「カタをつけるか、電話をしろ」という。主人公は恋もしない冷血漢だったが、彼女の逢引の現場を押さえたとき、非情になりきれずに見逃してしまう。

 社長の右腕から一転、裏切り者として痛めつけられる主人公。彼にはどうしてもそこまで自分が否定されるのかわからなかった。そして彼は自分を殺そうとした男たちに復讐をする。

 残酷、ハードなのは香港映画同様で、クライマックスの銃撃シーンは、マトリックスを思い出す。もちろん、物理的法則を無視した動きをするわけではない。鞄に詰め込んだたくさんの拳銃をもってホテルに乗り込むところが、『マトリックス』のモーフィアス救出シーンを思い出したのだ。

 邦題は『甘い人生』だが、オリジナルの英語タイトルは「Bittersweet Life」。甘い人生とはちょっと違うんじゃないか。ほろ苦い人生だと思う。でも、映画はどちらにしても、ほろ苦いとかいうより、超辛口な人生という気もするが。ラストシーンにはまあほろ苦さを感じることはできるけれど。



記事一覧

『電車男』を観る前に
『電車男』の復習
『デンジャラス・ビューティー2』
「Google AdSense顛末記」を読んで
「Google AdSense顛末記」その後
『甘い人生』


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