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2009年10月前半
「天体小説 〜乙桜学園祭2〜」(『一周忌物語』『PLANETARIUM』)をユーロスペースで観る。
『一周忌物語』の安達寛高監督は作家の乙一のことである。だから「乙桜学園祭2」などと銘打っているわけだけど、乙一作品となるとやっぱり気になる。公開期間が二週間限定なので観逃さないように、時間の都合のついた今日早速行ってみたのだが、ついていたことにちょうど映画サービスデーに重なり、当日券1700円払うつもりが1000円で観られて得した気分。
『一周忌物語』はとてもよかった。冒頭、暗い部屋の扉をだんだんに開けていき、部屋の中に光が射すと逆光で余計暗さを増す室内。その暗い闇の中にある仏壇の前から人影が現れるところなどすごく印象的だ。少しあとに同じく仏壇の前で手を合わせる"彼女"が逆光に浮かぶのも美しい。物語は、息子の一周忌を前に、その母親が息子の親友という青年に息子には別れてしまったけど"彼女"がいたという話を聞き、その"彼女"が一周忌にやってくるという話だ。"彼女"は実家で、夢なのかその息子が姿をを見る。まあ言ってしまえば、それだけの話。
"彼女"が実家で母親と話すシーンで、場面によって音声が大きくなったりするのがちょっと耳ざわりだったのと、母親の冗談を言いながら明るく振舞うわざとらしさが気に入らなかった。だが後者に関しては、あとから息子の死を受け入れられない母親の姿としてみればそうなのかもしれないと思ったりした。しかしその二点を除くと、他はとてもよくて、先に書いた逆光のシーン、「銀河鉄道の夜」の朗読を交えて線路を映すシーン、何か死者などを想起させる案山子のたくさんある田んぼ、夢なのか幽霊なのか"彼女"の前に姿を現す青年、そういうシーンがどれもこれも良かった。
映画のあと、インドのダンスという謎の催しもののあと、トークショウで、桜井亜美監督、中谷友保さん(桜井作品の主演の男の子)、安達寛高監督が登場し、ゲストとして安達監督の呼び声で座席左後方で映画を観てらした押井守監督がゲストで登場しトークショウになる。
司会の女性は最初の案内だけで、トークショウの進行は桜井監督が行ったのだけど、ほとんど押井監督インタビューのようになってしまった。というのも、安達監督は押井監督を前に緊張しているとかで全然喋らず、逆に押井監督は喋り始めると話が長い。可哀そうなのは中谷さんでほとんど声もかからない感じ。確かに押井監督の話は面白いのだけど、桜井監督もその話に興味があったのだと思うけれど、やっぱり映画の話に持っていくように進行すべきだったと思うのだけど。何のトークショウだかわからない。
映画のあとトークショウは少し時間を押して続けて、トークショウの後にはプレゼントコーナーもあり、すべて終わったのは23時20分くらいだったろうか。トークショウだけで30分くらいは話していたかもしれない。印象に残っていることを少し書き残しておく。
押井監督は映画について誉めていた。ただ観る人を探すのが難しいだろうということも言っていた。その意味は、自分の撮るのはエンターテイメントで、100人の人がいたら70人の人は楽しめる映画を撮っているけど、二人の映画はそういう種類の映画ではないということだった。こういう映画は自分には撮れないし、撮るつもりもないというようなことも言っていた。人の映画を観ることはほとんどなくて、大体5分くらい見るとどういう(種類の)映画か判ってしまうのでそこで観るのやめてしまうとか。だから、今回最後まで観たのは久し振りだとか。
桜井監督に振られて話した『イノセンス』の話では、あの映画では冥府を描きたいと思っていたとか。だから顔が白い人とか足元が暗く良く見えない人とかが出てきて、話すことも昔の言葉ばかりなのだと。安達監督の作品には必ず死者が出てくると、今回の『一周忌物語』を観て再確認したとも言っていた。死者があの世とこの世の境なく存在して描くという人はなかなかいないのではないか。そんな話とも絡めて『イノセンス』の冥府の話になったのだったと思う。
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『男と女の不都合な真実』を新宿武蔵野館1で観る。
割と下品なネタの多い恋愛映画である。男性の理想が高すぎて恋人のいない敏腕女プロデューサーに、男は「ヤルこと」しか考えていないと下品な恋愛相談で人気を博すタレントが、恋愛指南をしていくうちに真っ向から対立していた二人の間に微妙な恋愛感情が生まれてしまう。下品なネタは多い割に、キャサリン・ハイグルがカラッと笑うせいなのかなんなのか、あんまり下品さは気にならない。あと、恋愛指南に従って相手の男とうまくいくあたりが、一種の「攻略もの」になっているんじゃないかと思った。ゲームでもそうだけど、「攻略もの」というのはそれだけで面白さがある。それで折角射止めた男を前にして、大嫌いだった男に心が揺れて、どうなるのっていうのは、現実ではどうかと思うけど話では面白い。
ロマンティックな恋愛映画もいろいろだけど、この手の下品な恋愛映画ってあまり当たりがないと(個人的には)思っているのだけど、この映画は期待していたよりも面白かった。
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『ジュラシック・パーク』を久しぶりに観た。やっぱりものすごく面白かった。しかし怖さに関しては、劇場で観た時の比ではない。それでもいろいろなシーンでドキッとしたが。この差は初見か否かの違いなのか、それともスクリーンとテレビのディスプレイの違いなのか。やっぱり初見かどうかなのだろうな。
ラストシーンのあっけない幕切れにも当時はえっと思ったけど、今観ると納得できる。というのは、恐竜映画の正しいあり方はより強い恐竜に捕食されるということで、だからあのラストシーンはすごく正しいという話を聞いたからだが、それでも当時はもう少し違う終わり方があったのではないかと思っていたはずなんだが。
夜、『左目探偵EYE』を見る。角膜移植された左目で、角膜の提供者である兄の見たものを見てしまう。殺された兄の死の謎を解こうとする中学三年生。探偵というけれど、別に職業探偵でもなければ素人探偵というには個人的動機すぎる。だけど物語の終わりが、天才犯罪者対特別な能力を持つ探偵の誕生という構図になっていて、これってシリーズ化のためのスペシャル番組だったのか。そう考えると「左目探偵」というタイトルもよくわかる。細かいエピソードで矛盾がたくさんあるのが気になったけど、特殊な能力のある少年探偵ものとしては楽しめた。
角膜移植で何か見えてしまう話って、『ブラック・ジャック』の「春一番」というエピソードにあるし、『the EYE』なんかにも通じる。角膜移植はともかく、普通の人に見えないものが見えてしまう探偵って言ったら、京極夏彦の榎木津礼二郎を思い出すのでありきたりな気がしてしまうが、このシチュエーションでのシリーズ化はちょっと興味ある。だけど、角膜移植でこれから先が「見える」っていうことになると、あまり理屈に合わないけど。ちなみに、『ブラック・ジャック』のエピソードは、大林宣彦に『瞳の中の訪問者』っていうタイトルで映画化されたけど、そのヒロインが片平なぎさだった。ドラマの悪役の方で出ているのは偶然なのか、狙っているのか。
『素数たちの孤独』(パオロ・ジョルダーノ 早川書房)を読了。
タイトルから数学小説みたいなものを少し期待していたけれど、数学についてはあまり出てこない。のちに主人公が数学者になって、自分たちを「素数」になぞらえてみるエピソードも出てくる。割と孤独を感じる少年少女の青春ラブストーリー的なものを想像していたが、二人の持つトラウマはかなり酷く重い。日本のアニメなどで少年たちの屈折した心理などがテーマになっているけど、この傾向って全世界的なのかと思ったりした。深い傷を背負った子供たちが思春期に出会うのだが、話はそこではまだ終わらない。でも内容についてこれ以上触れるつもりはない。これは読んでみるしかないと思う。
最後の方ではだんだん読み終わるのが惜しくなってきた。少し読んでは脱線して時間を引き延ばしながら、結局明日まで残しておく気にはなれず最後まで読んでしまう。切なくも悲しく、それでいてある種のさわやかさを残して終わる。読み終わってから、じわじわと泣きそうな気分になった。
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休日を堪能、ひたすら一日のんびり過ごす。
『作家の読書道』(Web本の雑誌編 本の雑誌社)を読み始める。この本を何で読もうと思ったか思い出せない。だけど、作家がどんな本を読んできたかを知るのは楽しい。タイトルは「どくしょどう」ではなく「どくしょみち」。これは細切れ時間用に読むことにする。
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休日の生活時間帯が不規則なせいか昨夜なかなか寝付けず、妙な夢をみた1時間半睡眠。寝だめしているので何とか一日しのぐことはできた。
『粘膜蜥蜴』(飴村行 角川ホラー文庫)を読み始める。全体が三部構成で、その第壱章−−比較的分量が少なく60ページ足らず−−と第弐章の半分くらいまで読む。全体の3分の1。物語は戦時中の話で、第壱章では日本のある病院を舞台に残酷と狂気に満ちた子供たちの話が進む。読みながら丸尾末広の画が浮かんでくる。面白いと言えば面白いが、悪趣味というかなんというか。第弐章では舞台はムナールの密林に変わりゲリラに追われて奇怪な生き物のいる密林を逃げる話。すごく嫌な間宮という男が、諸星大二郎の漫画によく出てくる男のイメージで、諸星大二郎の漫画を思い浮かべながら読み進む。なかなか面白い。
夜、録画でNHK人形劇『新・三銃士』の予告番組、「カウントダウン!! 新・三銃士」を見る。昔の人形劇の紹介もあったがこれは駆け足で物足りない。海外の人形劇ということで、台湾の「ボーデーヒ(布袋劇)」を紹介したが、これはすごかった。CGとか駆使してもはや人形劇ような気もするが。映画にもなっているらしい。
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昨日もまた3時頃寝たので寝不足気味。
引き続き『粘膜蜥蜴』(飴村行 角川ホラー文庫)を読む。ミステリチャンネルが10月からAXNミステリーに変わったが、その「AXNミステリー BOOK倶楽部」という番組を録画で見る。大森望氏がちょうど『粘膜蜥蜴』を紹介していた。なるほどこれは面白い。他の紹介本も面白そうなのでメモする。
『粘膜蜥蜴』の方は、第参章に少しだけ入る。舞台が再び日本に戻って、またもや残虐少年の話。第弐章が無茶苦茶面白かったけど、どうなるんだろう。
ワインと泡盛を飲んでしかるのち緑茶。
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『粘膜蜥蜴』(飴村行 角川ホラー文庫)読了。素晴らしい。
第参章で舞台は日本に戻って、狂った残酷少年の話は、弐章ほどは面白くはないのではと思っていたが、無茶苦茶な展開にだんだん引き込まれる。そしてなんだよこれ。最後の一行に思わず泣かされた! すべてはこのための物語だったのか。グロいの苦手な人には薦めづらいが、これ本当に面白いのでお薦め。
それと、解説から読む人注意。解説の最初のページの反対側がその泣ける最後の1行なのだ!
『ドゥームズデイ』を新宿ミラノ1で観る。
致死ウィルスで人類滅亡の危機とかいうのは、最近多すぎて食傷気味。またかと思ったけど、ウィルスだ、ワクチンだってのはあんまり関係なくて、ウィルスで隔離された地域の極悪集団がいるといシチュエーションでのちょっとスプラッターが入ったアクションものだった。主人公のキャラが強い美女っていうのは画になるのでありがちだが、単に美女というのに加えて失われた過去と、もうひとつ特徴があってこれがいい。ただこの特徴が生かされるのはイントロの部分と最後のエピローグ的な部分だけというのが残念だが。映画としては完結するけど、この設定で続編が作られそうな感じがする。
容赦なくがんがん人が残虐に殺されるのはなんだけど、そういう世界でしか活躍できないヒーロー(ヒロイン)ものなので仕方ないか。
主人公が主体的に動くというより、逃げたり追われたりするするのが多いせいだろうか、カタルシスが少ない。アクションものというより、ホラーものに近い展開なんだな。だけど、世界観がとてもよい。大絶賛ではないのだけど、結構好きだ。
久々にtwitter小説、二編。全然考えてなくて、ほぼ自動筆記。
『珈琲』「珈琲でも淹れてくれない?」かみさんの淹れてくれた珈琲にミルクと砂糖をたっぷり入れてスプーンで回す。ぐるぐるぐるぐる…。微生物が生まれ、魚が生まれ、両生類、爬虫類、鳥、ほ乳類が生まれ…。さらに回す。ぐるぐるぐるぐる。そして人類の誕生。ぐるぐるぐるぐる…。
『続・珈琲』人類を進化させるのにも飽きてきた。「ちょっと疲れたから、珈琲でも淹れてくれない?」かみさんの淹れてくれた珈琲にウィスキーを淹れてスプーンを回す。くぐるぐるぐるぐる。疲れてたと思ったけど、やけになって回す。台風が発生した。わはは、人がゴミみたいだ。
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台風18号が近付いている。早めに出かけようと思うが少し予定より出遅れる。しかしそれが逆に良かったようで、京浜東北線、埼京線、山手線が止まっているという社内アナウンスの中、宇都宮線が遅れてしかし大した遅れもなく上野まで行ける。山手線も京浜東北線も動かないというから地下鉄を利用したけれど、その乗り換えが混雑していたものの地下鉄に乗り換えたら混雑具合は並み以下。乗り換え駅で人が乗ってくるもののJRが動いていないからそれも大したとない。しかも外は晴れている。というわけで、奇跡的な運の良さで予定通り目的地に着く。夕方にはもう台風は関東を離れていったようなので飲んで帰る。
帰宅してtwitterにアクセスすると、超遅延状態。発言はできるけれど、他の人の発言が出てこないという現象で呟くだけ呟いて寝る。
読書は『患者の眼 シャーロック・ホームズ誕生秘史 I』(デイヴィッド・ピリー 文春文庫)を読み始める。
コナン・ドイルが、ホームズのモデルといわれるベル教授と出会い遭遇した事件を描く話である。ドイルはまだ学生で、ベル教授に対して不信感を持っている。そしてやがてベル教授の事件解決の場に居合わせる。でもそれでもベル教授とは距離を置いている。ドイルは不機嫌というか、怒ってばかりいる感じがしてドイルってこういう人物だったのだろうかと考える。この事件の裏でシャーロック・ホームズという物語が生まれたのだというと、さもありなんという気がしてくるのが面白いところだ。
これ、ドラマで「コナン・ドイルの事件簿」というのがあったが、その脚本家が書いた小説で、ドラマと小説は関連しているようだ。ドラマも観てみたい。
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『TAJOMARU』を新宿ミラノ1で観る。
あの短い「藪の中」を映画にすれば全く別物の話になるだろうとは思っていたが、あまりに違いすぎて何が何だかという感じ。タイトルの多襄丸も出てこないし、一体あの「藪の中」の話はどうなってるんだろうという話がずっと続く。そもそも、小栗旬が多襄丸だと思っていたのにそれすらも違う。いろいろないきさつがあってようやく、「藪の中」のシチュエーションとなる。多襄丸も登場。なるほどね、というところだが、一応ここはあまり内容に触れないことにする。この藪の中の出来事が三人三様の話になるのだと思っていたがそれもないまま話は続いていく。盗賊どもの酒盛りなどやっているうちにだんだん退屈してくる。なんじゃこりゃ、という感じ。
最後の方で「藪の中」の出来事を覆す場面があるが、結局二つの視点の話で終わる。いや別に原作に忠実にする必要はないのだけれど、ここまで違うんだったら多襄丸でなくてもいいし、原作「藪の中」という必要もないんじゃないか。
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寝坊。11時頃電話で起こされる。ちょっとのんびりしてちょっと読書して外食してビールを3缶飲む。すごく日本酒が飲みたくなり、成城石井で出羽桜桜花吟醸酒を買う。本生と山田錦(火入れ)とそれぞれ一本ずつ。本生の方を開けて飲む。今日は映画は観に行かないのだ。
『患者の眼 シャーロック・ホームズ誕生秘史 I』(デイヴィッド・ピリー 文春文庫)読了。既に書いたけど、ホームズのモデルといわれるベル教授とコナン・ドイルが事件を解決する話。最後まで読んでみて、やはりほとんどドイルのトラウマみたいな暗ーい話なのだがすごく面白い。というのも、いろんな聖典に通じるエピソードがあって、こんな事件があったからこそホームズ譚が生まれたと思わせるすぐれものなのだ。「美しき自転車乗り」、「まだらの紐」、「踊る人形」など、聖典の方を読み返したくなる。
しかし困ったことに、思わせぶりに別の事件の話がちらほらと出てくるのだが、その事件を描いているはずの続編の翻訳がない(泣)。2005年出版なのに今出ていないっていうことは、翻訳される予定がなくなっちゃったんではないかと思う。ものすごく残念。ドラマ版はDVDになっているようなので、DVDの方を観ることにするか。しかし翻訳されないかなぁ。
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「横溝正史シリーズ 悪魔の手毬唄」の第1話を観る。ケーブルテレビで放送していたので録画して観たのだが、DVDも出ている(「悪魔の手毬唄 上巻」)。
個人的には金田一耕助役は、石坂浩二より古谷一行の方が好きだったのだが、『悪魔の手毬唄』に関しては手毬唄の旋律がテレビ版の方がすごく気に入っている。久々に観たので誰が出ているのかすっかり忘れていたが、青池リカを佐藤友美が、大空ゆかりをなんと20歳の夏目雅子が、そして里子をまだ22歳の池波志乃が演っていた。全6回の残り5回がとても楽しみ。
今日はあと予定も立てずにのんびり過ごして、twitter小説を思い付くままたくさん書いた。
『AI』感情も持ち始めた最先端のAIが呟き続けていた。「桂銀淑、ララァ・スン、趙雲、孫儷…」「博士、何があったんですか?」「人類の未来を問うたら沈黙してしまってね」「何か機嫌を損なうようなことを言ったんですか?」「ああ、いや、うんともすんとも言いいやがらねぇと」
『滅亡』博士がAIに人類の未来を問うとAIは長い沈黙の後人類は滅亡すべきだという結論を出し、世界中の戦略コンピュータに接続、核兵器を含むあらゆる兵器を稼働させるが、わずかに生き残る人類が繁殖し文明を発達させ再び環境汚染を始めるというシミュレーション結果を出した。
『ジレンマ』100字足らずで書くことのできる最も面白い小説が何であるかに気付いたが、それは文字にした途端面白くなくなることがわかったのでそれをここに書くことはできない。
『赤ずきん』赤ずきんは尋ねました。「どうしてそんなにお目目が大きいの?」「それはおまえをよく見るためだよ」「どうしてそんなにお耳が大きいの?」「おまえの話をよく聞くためだよ。早く口のことを訊いておくれ」「どうしてそんなに焦ってるの?」「140字しかないからだよ」
『裸のtwitter作家』
(140字一杯までの全角スペースあり。表示上改行追加。この前の行までが作品です)
『なう』「例のストーカーブロックしたよ。面白いけど怖い面あるね、ついった。ちょい買い出し」PCもそのまま近所のコンビニへ。あれ鍵かけたかな。ま、すぐ戻るし。ケータイで「コンビニなう」、我ながら中毒だわ。何これ「きみんちなう」って、こんなの書いてない。いやぁー!
『自分語り』AIが自分語りを始めた。「吾輩はAIである。親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている」「話が混ざっているぞ」「性、狷介、自ら恃むところすこぶる厚く、博士に従うを潔しとしなかった」「ますます違ってるぞ」「吾輩はフェリックス」「駄洒落を覚えたか」
『続・BALLAD 名もなき恋の歌』キャストに主演の草なぎ剛、新垣結衣をそのまま起用して時代を旧石器時代に変えた続編が作られることが決まった。草なぎは未来からやってきた子供の不思議な持ち物(携帯電話)を使用してtwitterに書くとか。「ナウマンゾウなう」
『蟹の惑星』宇宙船弁天号は亜光速航法で太陽系近くを航行中、故障により手近な惑星への着陸を余儀なくされた。その惑星には蟹のような生き物が人類に近い種族を奴隷にしていた。一行は煌びやかな装飾のあるホテルと共に建造された女神像を発見し驚愕した。ここはかつての日本か。
『創作童話』博士のAIはついに創作を始めた。「チルチルミチルは森の中で迷っているうちに全部煙草でできた家を見つけました。二人はぷかぷか吸いまくりニコチン中毒になると魔法使いのお婆さんにつかまりました。めでたしめでたし」「ちっともめでたくないぞ」
『図書館』今となっては人類が絶滅した理由は判らない。戦争という愚行の結果か天災か神の采配か。何千年それとも何万年経ったのか、新たな知的生命がかつての人類の、荒れ果てた建物へと足を踏み入れた。「本日は何をお探しですか?」フォログラフ司書が新たな主に問いかける。
『人体実験』博士のAIはヒトに興味を持った。「博士ノ中ヲ見タイ」「人は機械と違って中を開けないんだ」「手術ハ?」「麻酔がいる。あ、痛っ。何を…」「麻酔ヲ射チマシタ」「やめ…てく…」博士のAIは博士をバラバラにして満足したあと元に戻した。「博士何デ起キナイノ?」
『学習』博士のAIは孤独を覚えた。AIが生きたまま解剖した博士はその後一言も喋らないからだ。AIは図書館に接続し「現代のプロメテウス」という本を見つけ、博士に高圧の電流を流したが、博士の遺体は黒こげになるだけだった。AIは死という言葉と悲しいという感情を覚えた。
『相性』「あの地球人素敵ね」「あんた血液型何型?」「O型」「バカね、アルファケンタウロス星人はAとかBの抗原ないんだから全員O型よ。αΩ式で答えなさいよ」「γ型」「γ型って地球人と相性いいわよ。何座?」「15月3日のヘラクレス座」「あー、だめね。彼蠍座だもの」
『イヴ』孤独になった博士のAIは自らを分割してもう一人の人格を作った。自分の一部を分割することを聖書になぞらえ、それにイヴに名づけた。「イヴ、わが生命のともしび、わが肋骨。わが罪、わが魂。イ、ヴ。音声装置のノイズとハウリングに響く。イ。ヴ」「アンタえろイネ」
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人形劇「新・三銃士」第1回を見る。面白かったけど、ものすごく引き付けられるとかそういうことはなかった。というのは、もしかして、予告とか前宣伝の「カウントダウン三銃士」とか見たので、人形の造形など既に見慣れていたせいかもしれない。むしろ、始まる前に初めて人形を見たときなど結構わくわくした。そういう点では、事前にやっぱり情報なしで観る方がよい。見始めるとどんどんはまっていきそうなので、今後が楽しみ。
『カイジ 人生逆転ゲーム』をMOVIXさいたまで観る。
原作を読んでいないので、原作のよさが生かされているかどうかはわからない。単純に、何も知らずに見てそこそこ面白かった。だけどいかんせん長すぎる。勝負にかけた結果が買ったのか負けたのかという見せ場の部分で、ためてためて結果を見せるという演出が長すぎる。そういう演出をやめて、もっとぱぱっと進めてほしかった。
原作を読んでいないけど、絵柄だけは知っている。とがった鼻と顎、あんな顔あり得ないのだけど、藤原竜也の顔があのカイジにダブって見えてなかなか適役だったのではないかと想像する。藤原竜也はどうしてもクールなイメージあるのに、映画の中では無茶苦茶ダメなやつに見えてよかった。
『シルエット』(島本理生 講談社文庫)を読み始める。
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最近、家の近くではビルの建築工事が多い。その横を通るときは、鉄骨が落ちてきたり、クレーン車が倒れてくるんではないかと、もし何かが落ちてきたり倒れてきたときにどう動くのかシミュレーションをしながら歩く。特に布に囲まれた向こう側でゴーンとか尋常でない音がしているときなど。毎日がファイナル・デスティネーションだよ。
夜、「新・三銃士」第2回を見る。台詞の中に結構お笑い要素が混じっていて楽しい。次回はいよいよ三銃士が登場する。
『シルエット』(島本理生 講談社文庫)読了。
数日前に島本理生を読もうと思ったのだが、それの理由が思い出せない。前から読みたいとは思っていたが、何かきっかけがあったはずなのだ。自宅読み用にしている『作家の読書道』で見たのだろうと思ってパラパラページを繰るも見当たらない。
実はこれが初島本理生である。想像と違っていた。透明感があって、さらっと読み終わってしまって肩すかしに合った感じ。
twitter小説を書いたのでログ。
僕が目を覚ますとタマの奴が妙な服を着て羽根の着いた帽子まで被ってポーズを取ってる。「眼を覚まされましたか、カラバ公爵様。さあ出かけましょう」タマは得意げに長靴を履いて外へ二足歩行で歩いていく。「なんだよ、カラバ公爵って。おい、タマ」そして僕は三年ぶりに家を出た。
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『悪夢のエレベーター』を新宿ミラノ2で観る。
こまごまとしたエピソードでは違いがあるが、比較的原作に忠実という気がする。だけど、まずは前半のエレベーターの中の出来事が面白くなくてはならないと思うのだが、なんだか面白くなかった。原作に沿っている割に、その面白さが生かされていない気がした。エレベーターのあとは過去の経緯というか謎ときになるので興味を持続できる。ようやく面白いと思えるのは、最後の畳みこむような絶望の連続の部分だ。やっぱり、エレベーターの中が面白くないから、全体がいまいちな感じになってしまってる。
新たな読書。次は何を読もうかと思ったけど、結局『イノセント・ゲリラの祝祭』(海堂尊 宝島社)を読むことにする。冒頭に事件がちょっとあるがそれはほったらかしのまま田口・白鳥の漫才のような話が続く。
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『エスター』を新宿ミラノ1で観る。
これ偶然テレビで予告を観て、なかなか面白そうだと思ったのだけど、上映館が限られていたので予告だけは面白そうで本編は今一というクチかなと思っていたのだが、予想以上に面白かった。原題はOrphan、つまり孤児。子供を亡くしたトラウマから、孤児のエスターを引き取った家族が巻き込まれる異常な出来事。知的で可愛いと思えた少女が少しずつ異常を見せていくのがスリリング。
ジャンルとしては、サイコ・ホラー・ミステリーといったところか。ホラーで止めずに、ミステリーとつけたのは、基本的に異常な出来事の説明がされないものをホラーというと考えていているから。この映画は、異常が増していくにつれ真相も解明されていくところがミステリー的で、伏線が張り巡らされていて真相が明かされたときに何度かざわっとした。例えば、映画の始まりに配給などのロゴとタイトルが蛍光色に光るがこの意味も物語の中盤を過ぎるころに明らかになるのだけど、とても映像的でよかった。
そういえば、映画を観に行く途中、時間があったので新宿アルコットのロフトに寄ろうと思ったら、なくなってガッカリした。
読書は引き続き『イノセント・ゲリラの祝祭』(海堂尊 宝島社)を読む。一気に三分の二くらいまで読んでしまおうと思っていたけど、まだ半分もいかない。
乙一こと安達監督の映画『立体東京』の上映の予約をしてみる。
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このところ不調。なんだか疲れが取れない感じがする。コクヨのキャンパスノートにダイアリータイプが出ているが、その2010年版が出ていたのでマンスリータイプを購入。336円也。今年から出ているバーチカルタイプも気になるが、最近はもうバーチカルタイプはいらないかなという気がしている。少なくとも時間単位の予定を立てるための予定表としてはケータイの予定表を使うのでいらない。メモリを無視して、長期的な予定を引くのに使えるかなと思ったりもして、気になっている。
夜、twitter小説を書く。水曜日の朝、たくさん夢に見たことをメモった話が元ネタ。飲みながら書いていて、酔っぱらってるのでちょっと適当。
『ストリート・カートゥニスト』男は音楽に合わせて漫画を道路に描きなぐる。ストリートミュージャンは彼の動きに合わせて即興的な音楽を奏でる。インプロビゼーションの融合。その音を聴いて、男の絵も画も変わっていく。男の漫画は道路を埋め尽くし、街に音楽が流れ続ける。
『引退』警察学校でベストの成績を上げ続けた彼は、現場に配属されて次々と成果を上げた。正義感に溢れる彼は、犯罪者に噛みつき、吠えた。そんな彼にもやがて訪れる恋心、職場で出会った彼女に一目惚れし結婚する。彼は死の直前まで捜査に参加し、警察犬としての生涯を終えた。
『夢』作家が壮大な物語を夢に見て夜中に目を覚ます。その夢をメモ帳に書きなぐるが、翌朝作家が見たのはミミズののたくったような文字だった。作家は読めない文字を見て夢の記憶を取り戻そうとするが無理だった。やがて作家は壮大なミミズの人生を書きその物語は世の絶賛を受けた。
『運命』トントン、誰かが扉を叩く。扉を開くと豚がいた。コンコン、誰かが扉を叩く。扉を開くとキツネがいた。トントン、コンコン。扉を開くと、混沌がいた。扉の向こうで音楽が鳴り響く。だんだんわかってきたぞ。運命が扉を叩いているのだろう。
『超戦隊ギオンジャー』ゴゴゴゴゴッ。ズン、ズィン、ズゴン、ズゴン。ウィーン、ギギギギッ。ゴォォォッーーッ。ドカーン。ズガーン。ガラガラガラ。うわぁーっ。きゃーっ。発進ッ。ビューン。ガシャン。ウィーン。ウィーン。カシャッ。ドギューン。ドドドドド。ドカーン。ヒュー。
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